このシリーズは、「8つの聖書的契約」の学びです。この記事では、「アダム契約」を取り上げます。
エデン契約に続くつ2つ目の契約です。
アダム契約で学ぶ項目は、以下の6点です。
- 契約の聖句
- 契約の当事者
- 契約の条項
- 契約の時期
- 契約の有効性
- 契約の要約
アダム契約が書かれている聖書箇所は?
アダム契約は、創世記の3章14節から19節に書かれています。
手元に聖書をお持ちでしたら、ぜひご自分の聖書を開いてお読み下さい。(右端の▲印で開閉できます。)
創世記 3:14~19
3:14 神である主は蛇に言われた。 「おまえは、このようなことをしたので、 どんな家畜よりも、 どんな野の生き物よりものろわれる。 おまえは腹這いで動き回り、 一生、ちりを食べることになる。 15 わたしは敵意を、おまえと女の間に、 おまえの子孫と女の子孫の間に置く。 彼はおまえの頭を打ち、 おまえは彼のかかとを打つ。」 16 女にはこう言われた。「わたしは、あなたの苦しみとうめきを 大いに増す。 あなたは苦しんで子を産む。 また、あなたは夫を恋い慕うが、 彼はあなたを支配することになる。」17 また、人に言われた。 「あなたが妻の声に聞き従い、 食べてはならないと わたしが命じておいた木から食べたので、 大地は、あなたのゆえにのろわれる。 あなたは一生の間、 苦しんでそこから食を得ることになる。 18 大地は、あなたに対して茨とあざみを生えさせ、 あなたは野の草を食べる。 19 あなたは、顔に汗を流して糧を得、 ついにはその大地に帰る。 あなたはそこから取られたのだから。
引用元:聖書新改訳2017©2017新日本聖書刊行会
続いては、これらの御言葉を元に、アダム契約の当事者を見ていきましょう。
アダム契約は誰と誰の間で交わされた?
アダム契約は、神とアダム(人類の祖先)との間で交わされた契約です。
アダムは、個人としてではなく全人類の代表として、この契約を結びました。つまりこの契約は、私たちを含めすべての人間と結ばれたと言えます。ですから、アダム契約の影響は、祝福も裁きも全て、私たち全人類に及びます。
続いては、アダム契約の条項について、くわしく見ていきましょう。
アダム契約に含まれる条項は?
アダム契約に含まれる条項は、大きく分けて4つあり、次の順番に宣言されていきます。
- 蛇への宣言
- サタンへの宣言
- エバへの宣言
- アダムへの宣言
蛇に対して
創世記 3:14
3:14 神である主は蛇に言われた。 「おまえは、このようなことをしたので、 どんな家畜よりも、 どんな野の生き物よりものろわれる。 おまえは腹這いで動き回り、 一生、ちりを食べることになる。
引用元:聖書新改訳2017©2017新日本聖書刊行会
蛇に対する宣言は3つあります。
①「どんな家畜よりも、どんな野の生き物よりも呪われる」とは、動物界のどの生き物よりも呪われたものになるということです。
②「腹這いで動き回ることになる」とは、それ以前の移動方法が出来なくなったということです。
③「一生、ちりを食べることになる」とは、ヘブル語の慣用句で、「ひどく呪われる」という意味です。
(参照:ミカ書 7:17)
*蛇に対してこのような裁きが下ったのは、サタンに悪用されてアダムとエバに罪を犯させたからに他なりません。
サタンに対して
創世記 3:15
3:15 わたしは敵意を、おまえと女の間に、 おまえの子孫と女の子孫の間に置く。 彼はおまえの頭を打ち、 おまえは彼のかかとを打つ。」
引用元:聖書新改訳2017©2017新日本聖書刊行会
サタンに対する宣言は4つあります。
①「おまえと女の間に、敵意を置く」
これは、サタンと女との間に戦い(葛藤)があることを意味します。
この箇所での「女」は、女性全体を指します。全ての人が女性から誕生するからです。
具体的には、救い主(メシア)が誕生しないよう、人間の女性たちを汚そうとします。この出来事はすでに成就しました。(創世記6章)
また、それだけではなく、女性から生まれる全ての人間に対する継続的な戦いでもあります。(黙示録20:10まで)
②「おまえの子孫と女の子孫の間に、敵意を置く」
これは、サタンの子孫である「反キリスト」と、女の子孫である「イエス・キリスト」の間の戦い(葛藤)を意味します。
具体的には、反キリストの暗躍の預言です。(黙示録 13章 : 獣として)
③「彼はお前の頭を打つ」
これは、イエス・キリストがサタンの頭を踏み砕いて、致命傷においやることを意味します。
具体的には、イエス・キリストの復活の預言です。この出来事はすでに成就しました。
また、それだけではなく将来成就する預言も含まれています。(ロマ書16:20, 黙示録20:10)
④「おまえは、彼のかかとを打つ」
これは、サタンがイエス・キリストのかかとに噛み付くことを意味します。
具体的には、イエス・キリストの十字架の預言です。この出来事はすでに成就しました。
用語説明 : サタン
サタンは、もともとは、天使界で神に使える「天使の長」でした。ところが、自らが神に変わって権力と地位を得ようと反逆し、堕天使(堕落した天使)となり下がってしまいました。その上1/3にも及ぶ天使たちを仲間に加え、「堕天使の長」として君臨したのです。
サタンは「悪魔」とも呼ばれています。
ちなみに天使は、神によって創られた被造物です。
天使の絶対数は一定で、その中で3分の1の天使はサタンに惑わされてしまい堕天使(堕落した天使)となりました。それらは「悪霊」と呼ばれています。
残りの3分の2の天使は、良い天使として今も神に仕えています。
用語説明:反キリスト
反キリストは、サタンの子孫として出現する人物です。将来来たるべき「大患難時代」と呼ばれる時代に暗躍します。しかし最後は、女の子孫であるイエス・キリストによって打ち負かされることが決まっています。
(重要)
創世記 3:15は、原福音(福音の原型)と呼ばれるものです。
聖書で一番最初に書かれた「メシヤ預言」で、神による人類救済計画が預言されています。
人類の歴史は、この預言が成就すべく着々と進められているのです。
エバ(女性)に対して
創世記 3:16
16 女にはこう言われた。「わたしは、あなたの苦しみとうめきを 大いに増す。 あなたは苦しんで子を産む。 また、あなたは夫を恋い慕うが、 彼はあなたを支配することになる。」
引用元:聖書新改訳2017©2017新日本聖書刊行会
エバ(女性)に対する宣言は3つあります。
①「あなたの苦しみとうめきを 大いに増す」
これは、月経の痛みを意味します。(堕落前にはなかったもの)
また、月経のサイクルによって妊娠の可能性が限定された事をも意味します。
②「苦しんで子を産む」
これは、出産の苦しみを意味します。
③「夫を恋い慕うが、 彼はあなたを支配することになる。」
これは、夫に対する支配欲を持つようになってしまった事を意味します。
また、その支配欲にも関わらず、夫の支配下で彼に従う立場である事を意味します。
*女に対してこのような裁きが下ったのは、女であるエバが、アダムを罪へといざなったからです。
アダム(男性)に対して
創世記 3:17
3:17 また、人に言われた。 「あなたが妻の声に聞き従い、 食べてはならないと わたしが命じておいた木から食べたので、 大地は、あなたのゆえにのろわれる。 あなたは一生の間、 苦しんでそこから食を得ることになる。 18 大地は、あなたに対して茨とあざみを生えさせ、 あなたは野の草を食べる。 19 あなたは、顔に汗を流して糧を得、 ついにはその大地に帰る。 あなたはそこから取られたのだから。あなたは土のちりだから、 土のちりに帰るのだ。」
引用元:聖書新改訳2017©2017新日本聖書刊行会
アダム(男性)に対する宣言は、4つあります。
①「大地は、あなたのゆえにのろわれる」
「大地は、あなたに対して茨(いばら)とあざみを生えさせ」
これは、土地に関する呪いを意味します。
土地が呪われてしまった結果、呪いの象徴である茨(いばら)やあざみが生え、豊かな実を結ばなくなります。
② 「あなたは野の草を食べる」
これは、食物に関する呪いを意味します。
「あなたは一生の間、 苦しんでそこから食を得ることになる」
土地が呪われたため、豊かな実を結ばなくなり、食物を得ることが困難になります。ちなみにこの時代は、菜食主義しか許されていません。
③「あなたは、顔に汗を流して糧を得る」
これは、労働に関する呪いを意味します。
労働は、かつて簡単で喜びを伴うものでしたが、土地が呪われ、食物の収穫が重労働と化したため、つらく苦しいものに変わってしまったのです。
④「ついにはその大地に帰る。あなたはそこから取られたのだから。あなたは土のちりだから、 土のちりに帰るのだ。」
これは、命に関する呪いを意味します。人間が肉体的に死ぬ者となってしまったのです。
ちなみに、霊的な死は、アダムとエバの堕落直後にすでに起こりましたが、肉体の死は、時間をおいてやってきました。
*男に対してこのような裁きが下ったのは、エデン契約の唯一の禁止令に従わなかったからです。また、アダムこそが契約の当事者であったからに他なりません。
「あなたが妻の声に聞き従い、 食べてはならないと わたしが命じておいた木から食べたので」とある通りです。
(重要)
人間は本来、霊的にも肉体的にも永遠に生きるもの、つまり死なないものとして創造されました。最初から死んでしまう生き物として創造されたのではありません。永遠の命が与えられていたのです。
神は、人間に永遠の命を与えるために、人類救済計画を進めておられます。その計画は、「アダム契約」の「原福音」に始まり、「新しい契約」に至るまで、人類史の中で漸進的(段階をへて徐々)に啓示され実行され続けています。
具体的な人類救済計画は、8つの聖書的契約と7つのディスペンセーションを学ことで、読み取ることができます。
さて続いては、アダム契約の時期を見てみましょう。
アダム契約はいつ結ばれた?
アダム契約は、「良心の時代」が始まる時に結ばれました。
そして、「良心の時代」の土台となる契約でした。
「良心の時代」とは、聖書の創世記 3章9節から8章14節までにあたり、アダムの堕落からノアの洪水の終わりまでの時代区分を指します。
それぞれの時代区分の名前は、その時代における「神の統治原則」がつけられています。ですから、良心の時代に、神が人類を統治する原則は、「良心」という事です。
神の視点では、人間の心に与えた「良心」によって、人々を導くということになります。
そして人間の視点では、神から与えられている「良心」に従って生きることによって、神との関係を健全に保つことができるということになります。
続いては、アダム契約の有効性について考えてみましょう。
アダム契約は今も有効ですか?
アダム契約は、今も有効です。
なぜかというと、アダム契約が無条件契約(片務契約))だからです。無条件契約は、神の恵みによって保証されているので、人間側の落ち度に関係なく、いつまでも有効なのです。
ちなみに、無条件契約(片務契約))の他には、条件付き契約(双務契約)があります。それは人間側の落ち度によって無効となる契約です。8つの聖書的契約の中では、「エデン契約」と「モーセ契約」の2つだけが条件つき契約で、それらは無効となりました。
それでは最後に、アダム契約の要約をしていきましょう。
アダム契約のまとめ
この記事で、アダム契約について学んだ項目は、以下の6点です。
- 契約の聖句
- 契約の当事者
- 契約の条項
- 契約の時期
- 契約の有効性
- 契約の要約
アダム契約は、8つの聖書的契約の2番目の契約でした。
ここで、8つの聖書的契約の全体像を、しっかり押さえておきましょう。
- エデン契約
- アダム契約
- ノア契約
- アブラハム契約
- モーセ契約
- 土地の契約
- ダビデ契約
- 新しい契約
8つの聖書的契約を総合的に学びたい方へ
また、アダム契約が、「良心の時代」の土台となる契約だということも学びました。
そこで、7つのディスペンセーションも押さえておきましょう。ディスペンセーションとは、各時代区分にみられる、神の統治原則のことです。
- 無垢の時代
- 良心の時代
- 人間統治の時代
- 約束の時代
- 律法の時代
- 恵みの時代
- 御国の時代
7つのディスペンセーションを総合的に学びたい方へ
この記事の参考資料
1. ディスペンセーショナリズムQ/A
中川健一著 ハーベスト・タイム・ミニストリーズ
2. 聖書が教える霊的戦いー神の国と悪魔の国の葛藤ー
中川健一著 ハーベスト・タイム・ミニストリーズ
3. Clay解説コレクション
中川健一著 ハーベスト・タイム・ミニストリーズ
4. 中川牧師の一日一章
中川健一著 イーグレース
5. ハーベスト聖書塾 神学講座
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ディスペンセーション神学を本格的に学びたい方は、関連サイトページをご参照下さい。
以下は、8つの聖書的契約と7つのディスペンセーションの関係が一目で分かるチャートです。まだダウンロードや印刷をしていない方は、この機会にどうぞ。
最後まで一緒に学んでくださり、本当にありがとうございました。この記事が、あなたの信仰生活のお役に立てれば幸いです。
次回は、聖書的契約シリーズ(3)ノア契約について、ご一緒に学んでいきましょう。

