聖書的契約(3)ノア契約

このシリーズは、「8つの聖書的契約」の学びです。この記事では、「ノア契約」を取り上げます。
アダム契約に続くつ3つ目の契約です。

ノア契約で学ぶ項目は、以下の6点です。

  • 契約の聖句
  • 契約の当事者
  • 契約の条項
  • 契約の時期
  • 契約の有効性
  • 契約の要約
目次

ノア契約が書かれている聖書箇所は?

ノア契約は、創世記の9章1節から17節に書かれています。
手元に聖書をお持ちでしたら、ぜひご自分の聖書を開いてお読み下さい。(右端の▲印で開閉できます。)

創世記 9:1~17

9:1 神はノアとその息子たちを祝福して、彼らに仰せられた。「生めよ。増えよ。地に満ちよ。 2 あなたがたへの恐れとおののきが、地のすべての獣、空のすべての鳥、地面を動くすべてのもの、海のすべての魚に起こる。あなたがたの手に、これらは委ねられたのだ。 3 生きて動いているものはみな、あなたがたの食物となる。緑の草と同じように、そのすべてのものを、今、あなたがたに与える。 4 ただし肉は、そのいのちである血のあるままで食べてはならない。 5 わたしは、あなたがたのいのちのためには、あなたがたの血の価を要求する。いかなる獣にも、それを要求する。また人にも、兄弟である者にも、人のいのちを要求する。6 人の血を流す者は、 人によって血を流される。 神は人を神のかたちとして 造ったからである。 7 あなたがたは生めよ。増えよ。 地に群がり、地に増えよ。」  
8 神は、ノアと、彼とともにいる息子たちに仰せられた。 9 「見よ、わたしは、わたしの契約をあなたがたとの間に立てる。そして、あなたがたの後の子孫との間に。 10 また、あなたがたとともにいるすべての生き物との間に。鳥、家畜、それに、あなたがたとともにいるすべての地の獣、箱舟から出て来たすべてのものから、地のすべての生き物に至るまで。 11 わたしは、わたしの契約をあなたがたとの間に立てる。すべての肉なるものが、再び、大洪水の大水によって断ち切られることはない。大洪水が再び起こって地を滅ぼすようなことはない。」 12 さらに神は仰せられた。「わたしとあなたがたとの間に、また、あなたがたとともにいるすべての生き物との間に、代々にわたり永遠にわたしが与えるその契約のしるしは、これである。 13 わたしは雲の中に、わたしの虹を立てる。それが、わたしと地との間の契約のしるしである。 14 わたしが地の上に雲を起こすとき、虹が雲の中に現れる。 15 そのとき、わたしは、わたしとあなたがたとの間、すべての肉なる生き物との間の、わたしの契約を思い起こす。大水は、再び、すべての肉なるものを滅ぼす大洪水となることはない。 16 虹が雲の中にあるとき、わたしはそれを見て、神と、すべての生き物、地上のすべての肉なるものとの間の永遠の契約を思い起こそう。」 17 神はノアに仰せられた。「これが、わたしと、地上のすべての肉なるものとの間に、わたしが立てた契約のしるしである。」
引用元:聖書新改訳2017©2017新日本聖書刊行会

続いては、これらの御言葉を元に、ノア契約の当事者を見ていきましょう。

ノア契約は誰と誰の間で交わされた?

ノア契約は、神とノア(第二のアダムとして)との間で交わされた契約です。
ノアは、個人としてではなく、ノア以降の人類の代表として、この契約を結びました。
ですから、ノア契約の影響は、ノア以降の私たち全人類に及びます。

続いては、ノア契約の条項について、くわしく見ていきましょう。

ノア契約に含まれる条項は?

ノア契約に含まれる条項は、7つあります。


①「生めよ。増えよ。地に満ちよ」(9:1, 7)
  これは、子孫を残し人口を増やせという命令です。この命令はエデン契約から続いているものです。
  ただ、洪水によって、地上に残ったのはノア家族の8人だけです。ですから今後は、この8人から人口を増やしていくことになります。

重要
「地を支配せよ」という命令が、ノア契約にはありません。
それは、もはや人間には地の支配権がないことを意味します。
地の支配権は、アダムの堕落によって、サタンに奪い取られてしまいました。
現在、この世の全ての国々の支配権をもっているのはサタンです。

(聖書箇所)
・ヨハネ12:31「この世を支配する者」
・第2コリント4:4「この世の神」

用語説明:サタン
用語説明 : サタン

サタンは、もともとは、天使界で神に使える「天使の長」でした。ところが、自らが神に変わって権力と地位を得ようと反逆し、堕天使(堕落した天使)となり下がってしまいました。その上1/3にも及ぶ天使たちを仲間に加え、「堕天使の長」として君臨したのです。

サタンは「悪魔」とも呼ばれています。

ちなみに天使は、神によって創られた被造物です。
天使の絶対数は一定で、その中で3分の1の天使はサタンに惑わされてしまい堕天使(堕落した天使)となりました。それらは「悪霊」と呼ばれています。
残りの3分の2の天使は、良い天使として今も神に仕えています。

②「あなたがたへの恐れとおののきが、地のすべての獣、空のすべての鳥、地面を動くすべてのもの、海のすべての魚に起こる。あなたがたの手に、これらは委ねられたのだ」(9:2)
  これは、動物界を管理せよという命令です。この命令はエデン契約から続いているものです。
  また、動物たちが人間を恐れるようになるという宣言でもあります。これは、動物たちに自己防衛本能を与えたということに他なりません。なぜなら、次の条項にあるように、人間には肉食が許されるからです。
  

③「生きて動いているものはみな、あなたがたの食物となる。緑の草と同じように、そのすべてのものを、今、あなたがたに与える。」(9:3)
  これは、動物を食物とすることが許可されたということです。
  これ以前は菜食しか認められていませんでした。

④「ただし肉は、そのいのちである血のあるままで食べてはならない」(9:4)
  これは、血を飲んだり、血のついたまま食したりしてはならないという、禁止令です。
  この禁止令は、命の尊厳を教えるために与えられました。
  なぜなら、命は血によって保たれ、逆に血を流すことによって死を招くからです。
  このように、血と命は切っても切れないもの、つまり、血は命の象徴なのです。

⑤「わたしは、あなたがたのいのちのためには、あなたがたの血の価を要求する。いかなる獣にも、それを要求する。また人にも、兄弟である者にも、人のいのちを要求する。人の血を流す者は、 人によって血を流される。 神は人を神のかたちとして 造ったからである」(9:5~6)
 これは、死刑を社会制度に導入せよという命令です。
 この命令によって、計画的殺人という「罪」を犯した者には、死刑という「罰」が下るようになりました。
 
 ちなみに、死刑制度導入の背景には、人類最初の殺人罪を犯したカインの悪行が挙げられます。カインがアベルを殺した時には、カインは死刑になりませんでした。死刑制度がなかったからです。そして、彼が生き続けた結果、バベルの塔事件に象徴するような、人類の罪が増大してしまったのでした。

⑥「すべての肉なるものが、再び、大洪水の大水によって断ち切られることはない。大洪水が再び起こって地を滅ぼすようなことはない」(9:8~11)
これは、今後二度と、地球規模の大洪水によって人類を滅ぼすことはしないという、神の約束です。
ただしこれは、水による裁きについてであって、火による裁きに関する言及ではありません。

⑦ 「わたしは雲の中に、わたしの虹を立てる。それが、わたしと地との間の契約のしるしである」
  これは、ノア契約のしるしとして虹が与えられました。
  虹は、神が与えてくれた平和のシンボルと言えます。
  
ちなみにこの虹は、人類史上はじめて現れたものでした。なぜなら、虹は雨に伴う現象ですから、雨の降らなかった洪水前には出なかったです。

さて続いては、ノア契約の時期を見てみましょう。

ノア契約はいつ結ばれた?

ノア契約は、「人間統治の時代」(人間による統治の時代)が始まる時に結ばれました。
そして、「人間統治の時代」の土台となる契約でした。

「人間統治の時代」とは、聖書の創世記 8章15節から11章32節までにあたり、ノアの洪水の終わりから、アブラハムの召命での時代区分を指します。

それぞれの時代区分の名前は、その時代における「神の統治原則」がつけられています。ですから、この時代に、神が人類を統治する原則は、「人間による統治」という事です。

神の視点では、ノア契約で具体的に与えた「人間による統治方法」によって、人々を導くということになります。
そして人間の視点では、神から与えられている「人間による統治方法」に従って生きることによって、神との関係を健全に保つことができるということになります。

続いては、ノア契約の有効性について考えてみましょう。

ノア契約は今も有効ですか?

ノア契約は、今も有効です。

なぜかというと、ノア契約が無条件契約(片務契約)だからです。無条件契約は、神の恵みによって保証されています。
ですから、人間側の落ち度に関係なく、いつまでも有効なのです。

ちなみに、無条件契約(片務契約))の他には、条件付き契約(双務契約)があります。それは人間側の落ち度によって無効となる契約です。8つの聖書的契約の中では、「エデン契約」と「モーセ契約」の2つだけが条件つき契約で、それらは無効となりました。

それでは最後に、ノア契約の要約をしていきましょう。

ノア契約のまとめ

この記事で、ノア契約について学んだ項目は、以下の6点です。

  • 契約の聖句
  • 契約の当事者
  • 契約の条項
  • 契約の時期
  • 契約の有効性
  • 契約の要約

ノア契約は、8つの聖書的契約の3番目の契約でした。
ここで、8つの聖書的契約の全体像を、しっかり押さえておきましょう。

  • エデン契約
  • アダム契約
  • ノア契約
  • アブラハム契約
  • モーセ契約
  • 土地の契約
  • ダビデ契約
  • 新しい契約

8つの聖書的契約を総合的に学びたい方へ

また、ノア契約が、「人間統治の時代」の土台となる契約だということも学びました。

そこで、7つのディスペンセーションも押さえておきましょう。ディスペンセーションとは、各時代区分にみられる、神の統治原則のことです。

  • 無垢の時代
  • 良心の時代
  • 人間統治の時代
  • 約束の時代
  • 律法の時代
  • 恵みの時代
  • 御国の時代

7つのディスペンセーションを総合的に学びたい方へ

この記事の参考資料
  1. ディスペンセーショナリズムQ/A
    中川健一著 ハーベスト・タイム・ミニストリーズ

2. 聖書が教える霊的戦いー神の国と悪魔の国の葛藤ー 
中川健一著 ハーベスト・タイム・ミニストリーズ

3. Clay解説コレクション  
中川健一著 ハーベスト・タイム・ミニストリーズ

4. 中川牧師の一日一章
中川健一著 イーグレース

5. ハーベスト聖書塾 神学講座 
(聖書塾生専用教材)
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ディスペンセーション神学を本格的に学びたい方は、関連サイトページをご参照下さい。

以下は、8つの聖書的契約と7つのディスペンセーションの関係が一目で分かるチャートです。まだダウンロードや印刷をしていない方は、この機会にどうぞ。


最後まで一緒に学んでくださり、本当にありがとうございました。この記事が、あなたの信仰生活のお役に立てれば幸いです。

次回は、聖書的契約シリーズ(4)アブラハム契約について、ご一緒に学んでいきましょう。

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